てんかんの薬物療法改訂版
効果的な治療薬選択のために

兼子 直(弘前大学名誉教授):編著

2021年発行 A5判 220頁
定価(本体価格3,700円+税)消費税10%込(4,070円)
ISBN 9784880029122

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内容の説明

新薬ラコサミド、ペランパネルに加え、既存の抗てんかん薬に関するこの10年の知見を加筆した10年ぶりの改訂版。

新しい抗てんかん薬を適切に使用すれば70%の患者で発作が抑制されると報告されています。エキスパートの抗てんかん薬の特質、副作用、適切な使い方の理解を深め,治療効果が高まる1冊。

おもな目次

第1章 抗てんかん薬の作用機序    16
 A ゾニサミド(zonisamide:ZNS)    16
  1.ZNSの抗けいれん作用・モデル動物に対する効果    16
  2.ZNSの作用機序    18
 B ガバペンチン(gabapentin:GBP)    19
  1.GBPの抗けいれん作用・モデル動物に対する効果    19
  2.GBPの作用機序    20
 C トピラマート(topiramate:TPM)    21
  1.TPMの抗けいれん作用・モデル動物に対する効果    21
  2.TPMの作用機序    22
 D ラモトリギン(lamotrigine:LTG)    24
  1.LTGの抗けいれん作用・モデル動物に対する効果    24
  2.LTGの作用機序    25
 E レベチラセタム(levetiracetam:LEV)    25
  1.LEVの抗けいれん作用・モデル動物に対する効果    25
  2.LEVの作用機序    26
 F ラコサミド(lacosamide:LCM)    27
  1.LCMの抗けいれん作用・モデル動物に対する効果    27
  2.LCMの作用機序    27
 G ペランパネル(perampanel:PER)    27
  1.PERの抗けいれん作用・モデル動物に対する効果    27
  2.PERの作用機序    28

第2章 臨床薬理学的側面からみた第二世代抗てんかん薬の特徴    37
 A 第二世代抗てんかん薬の薬物動態学的特徴    38
  1.ガバペンチン(gabapentin:GBP)    39
  2.トピラマート(topiramate:TPM)    39
  3.ラモトリギン(lamotrigine:LTG)    41
  4.レベチラセタム(levetiracetam:LEV)    42
  5.ゾニサミド(zonisamide:ZNS)    42
  6.ペランパネル(perampanel:PER)    43
  7.ラコサミド(lacosamide:LCM)    43
 B 第二世代抗てんかん薬の有害事象    44
 C 第二世代抗てんかん薬の投与設計と有効血中濃度域    46
 D 第二世代抗てんかん薬の薬理遺伝学    47

第3章 てんかん薬物療法の概要と課題    53
 A てんかん薬物療法の流れ    53
 B AED単剤療法の意義と限界    56
  1.単剤療法(monotherapy)のメリット    56
  2.AED単剤治療による治療効果の概要    57
  3.いわゆる新規AEDによる単剤療法の意義    58
 C AED療法の限界と難治性(薬剤抵抗性)てんかん(refractory or drug-resistant epilepsy)    59
  1.難治性てんかん(薬剤抵抗性てんかん)とは?    59
  2.薬剤抵抗性発現に関連するてんかんの分子病態    61
 D 多剤併用療法(polytherapy)の意義と限界    64
  1.AED変更(switch)か付加投与(add-on)か?    64
  2.AED変更時のtransitional polytherapy    64
  3.合理的な多剤併用療法(rational polytherapy)とは?    65
 E AED療法の限界    69
  1.いかなる段階でAED療法の限界を判断するか?    69
  2.多剤併用は単剤療法よりも効果があるのか?    70
  3.新規AEDの付加による多剤併用の有用性について    71
 F AED療法の限界の克服に向けて    73

第4章 ガバペンチンのてんかん治療における意義    78
 A ガバペンチンの薬理学的特性    79
 B ガバペンチンの有効性    80
  1.成人の難治焦点てんかんに対する有効性    80
  2.成人の焦点てんかんに対する単剤療法    82
  3.高齢発症てんかんに対する治療効果    82
  4.全般てんかんに対する治療効果    83
  5.てんかん治療ガイドラインにおけるGBPの位置付け    83
 C ガバペンチンの副作用    84
 D ガバペンチンの使用上の留意点    84
 E てんかん治療におけるガバペンチンの意義    84

第5章 トピラマートのてんかん治療における意義    88
 A トピラマートの薬物動態    89
 B トピラマートの薬物相互作用    89
 C トピラマートの副作用    90
 D トピラマートの用法・用量    90
 E 海外の診療ガイドラインにみる本剤の位置づけ    92
 F 各種てんかん発作ならびにてんかん症候群に対する有効性    93
  1.成人難治焦点てんかんに対する有用性    93
  2.単剤療法の有効性    94
  3.特発性全般てんかんに対する効果    95
  4.小児のてんかん    95
  5.てんかん性脳症に関する効果    96
 G てんかん以外の有効性    99

第6章 ラモトリギンのてんかん治療における意義    103
 A ラモトリギンの標的症状    104
  1.薬効の広域性と単剤療法の可能性    104
  2.抗うつ効果    106
 B ラモトリギンの臨床上の特徴    108
  1.有効性と忍容性    108
  2.薬剤相互作用と半減率    109
 C ラモトリギンの副作用    114
  1.薬疹    114
  2.妊娠・出産時    116
  3.認知機能    116
  4.体重変化    117
 D ラモトリギンの使用上の留意点    117

第7章 レベチラセタムのてんかん治療における意義    121
 A レベチラセタムの有効性    121
  1.成人の焦点てんかんに対する有効性    121
  2.小児の焦点てんかんに対する有効性    125
  3.高齢者の難治性焦点てんかんに対する有効性    125
  4.特発性全般てんかん(IGE)に対する有効性    125
  5.その他の病態・疾患・症候群に対する有効性    126
  6.他のAEDとの比較    126
  7.発作の逆説的増加    127
  8.QOLに対する有効性    127
  9.てんかん以外の病態に対する効果    128
 B レベチラセタムの効果発現までの時間差・効果の持続    128
 C レベチラセタムの用量・効果関係    129
 D レベチラセタムの安全性    130
  1.副作用    130
  2.精神・行動面への影響    131
  3.妊娠・授乳への影響    132

第8章 ゾニサミドのてんかん治療における意義    139
 A ゾニサミドの有効成分に関する理化学的知見    139
 B ゾニサミドの作用機序と薬用量    140
 C ゾニサミドの副作用    141
 D ゾニサミドの小児てんかんにおける有効性    144
 E 成人における二重盲検試験    145
 F ウエスト症候群におけるゾニサミドの有用性    147
 G てんかん性無呼吸発作におけるゾニサミドの有用性    149
 H レノックス・ガストー症候群と大田原症候群    151

第9章 ペランパネルのてんかん治療における意義    155
 A ペランパネルの開発経過    155
 B ペランパネルの作用機序    155
 C ペランパネルの薬理学的特性    156
  1.AMPA受容体とGluA2サブユニット    156
  2.ペランパネルの薬理学的特性    158
 D ペランパネルの薬物動態・血中濃度・副作用    160
  1.薬物動態    160
  2.副作用    161
  3.副作用の出現時期    161
 E ペランパネルの有効性    164
  1.併用療法    164
  2.単剤療法    166
  3.有効性が指摘されているてんかん類型    167
 F ペランパネルの薬物相互作用    170
 G ペランパネルの使用方法    170
 H ペランパネルの使用上の留意点    172
 I ペランパネルに期待される効果    173

第10章 ラコサミドのてんかん治療における意義    177
 A ラコサミドの薬物動態・薬物相互作用    178
 B ラコサミドの用法および用量    179
 C ラコサミドの有効性    180
  1.焦点発作    180
  2.全般発作    182
 D ラコサミドの副作用    183
 E ラコサミドの精神面への作用    183
  1.てんかん患者に対するLCMの精神面への作用    183
  2.双極性障害患者に対するLCMの精神面への作用    185
 F ラコサミドの認知機能への影響    188
 G 今後の展望・課題    188

第11章 これからの抗てんかん薬の使い方    194
 A 薬剤選択    194
  1.作用機序が異なり,同じような副作用を発現しないAEDを選択する    197
  2.現在処方中の薬剤との相互作用を考える    198
  3.AED併用による効果を考える    199
 B 患者治療の最終目標は患者のQOLを最大限にすること    199
 C てんかん以外の疾患に対する使用    200
 D 焦点発作に使用可能なAEDの特徴    203
 E ペランパネルの2段階療法    204
 F これからのAED選択    205

索引    211
巻末資料:抗てんかん薬    218