下肢ボツリヌス療法とリハビリテーション医療

 安保雅博(東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座主任教授):編著

2023年発行 B5判 136頁
定価(本体価格4,200円+税)消費税10%込(4,620円)
ISBN 9784880021249

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内容の説明

Web動画付き!左右対称、見開き展開でわかりやすい!
下肢のボツリヌス療法について的確な筋同定と施注を豊富な画像で解説。
ボツリヌス療法の治療戦略やそれにあわせた理学療法戦略、EBM、評価方法、6つの症例を掲載
下肢痙縮に対するリハビリテーション治療の引き出しがぐんと増えること間違いなし
大好評書籍「上肢ボツリヌス療法とリハビリテーション医療」の続刊!

●序文

 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座だけではないと思いますが,最近の若手の医師は皆,いとも簡単にIT を使いこなします.巧みに操作できるので,医局にある数台のポータブルエコーはとても重宝されています.私はほぼブラインドで施注しますが,若手の彼らへ向けて,針筋電図ではなく痛みのないポータブルエコーを使ったボツリヌス治療を啓発するため,2020 年11 月,「上肢ボツリヌス療法とリハビリテーション医療」(新興医学出版社)という本を刊行しました.onabotulinumtoxinA(ボトックス®)が上下肢痙縮に保険収載されてからおよそ10 年後のことです.エコーを中心に,左右対称見開き展開かつweb 動画もついたこの本は,有り難いことにとても好評であったので,今回この「下肢ボツリヌス療法とリハビリテーション医療」を上梓する運びとなりました.ご支援いただいた方々へ感謝申し上げます.
 2020 年2 月からの約2 年間は新型コロナウイルスによって,それまで定期的にボツリヌス療法と訓練を継続し,機能改善や機能維持に励まれていた方も,緊急事態宣言のため12 週ごとの施注が難しくなりました.また,機能訓練や指導を受けられる機会も制限され,多くの患者さんが機能的にもQOL 的にも低下しました.2020 年11 月にincobotulinumtoxinA(ゼオマイン®)が新たに上下肢痙縮に対して保険収載され,痙縮の強い患者さんに10 週ごとの施注ができるようになりましたが,それを実施するにはなかなか難しい世情でした.2023 年5 月に新型コロナウイルスは5 類扱いになりましたが,いまだに多くの患者さんが病院に入院したりと,予断を許さない状況が続いています.それでも少し前から,定期的にボツリヌス療法を行い機能訓練や指導を受けられる状態に戻ってきました.残念ながら落ちてしまった機能やQOL が患者さんの努力によって,以前のように戻る姿も多く見られました.改めて,継続は力なりを実感することになりました.
 さらに,incobotulinumtoxinA(ゼオマイン®)は2021 年6 月から上下肢痙縮上限が800 単位に,onabotulinumtoxinA(ボトックス®)は2022 年11 月から上下肢痙縮上限が600 単位になりました.これにより,脳卒中後遺症である痙縮に対する治療戦略として大切な「十分量による治療」が可能になったと実感しています.系統的に増量することで痙縮の強い患者さんも可動域制限の改善や機能向上が見られるようになりました.これからさらに進んだ治療戦略が立てられ,少しでも多くの患者さんの笑顔が見られることを期待しています.
 最後に前回同様いろいろな注文にすべて誠実に応えてくださった株式会社新興医学出版社代表取締役の林峰子氏,編集部の佐藤絵美氏に深謝いたします.

2023 年9 月 安保雅博

おもな目次

※以下目次のうち、リンクのある各項目をクリックまたはタップすることで動画をみることができます。

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序文 3
執筆者一覧 6
第1章 エコーの基本 8

第2章 BoNT–A 療法の下肢痙縮に対する治療戦略
 治療戦略 12
 BoNT‒A 療法と併用する理学療法戦略 16

第3章 BoNT–A療法の下肢痙縮に対するEBM
 EBM 26

第4章 各筋への施注のポイント
(第4章のページガイド 42)
 ① ヒラメ筋 44
 ② 腓腹筋(外側頭) 46
 ③ 腓腹筋(内側頭) 48
 ④ 後脛骨筋 50
 ⑤ 長母趾屈筋 52
 ⑥ 前脛骨筋 54
 ⑦ 長趾屈筋 56
 ⑧ 短趾屈筋 58
 ⑨ 長腓骨筋 60
 ⑩ 足底方形筋 62
 ⑪ 短母趾屈筋 64
 ⑫ 腸腰筋 66
 ⑬ 短内転筋 68
 ⑭ 長内転筋 70
 ⑮ 薄筋 72
 ⑯ 大内転筋 74
 ⑰ 大腿二頭筋 76
 ⑱ 半膜様筋 78
 ⑲ 半腱様筋 80
 ⑳ 大腿直筋 82
 ㉑ 縫工筋 84

第5章 評価方法 88

第6章 症例編
 BoNT–A 療法400 単位から600 単位,800 単位の変化の比較と適応について 96
 BoNT–A 療法と拡散型体外衝撃波治療の併用~下肢機能を中心に~ 102
 下肢痙縮に対するBoNT–A 療法の評価を今後どう考えるか~装具変更の観点から~ 108
 立位バランス・立ち上がり動作に着目した下肢BoNT–A 療法と理学療法 119
 鉤爪趾の改善 126

索引 134